SSLの真実

SSLの真実

まだエイズのほうがましではないかということになってくる。 それに、この病気は空気伝染のようである。
すでに、世界中で発生している。 12月31日に、WHOは、各国に対して法定伝染病に指定するように勧告した。
厚生省からは、保健医療局長、結核感染症課長、国立感染症研究所のウイルス部長、ウイルス学の教授、内科で感染症の専門家らが集まっている。 日本で発生した患者の診療をしたあと、病理解剖もしたA教授が口火を切った。

「過去にこれだけの伝染病が果たしてありましたかね。 すごいものですよ。
感染して、ほぼ29時間以内に肺機能が全滅しているだけでなく、脳も大半がやられています。 もしも病原体がウイルスだとすれば、このウイルスはまったく選択的に肺と脳を冒しています。
それと現存するほとんどの薬剤は、なんの効果も示しませんね。 ふつうは、少し効果らしきものもあるのですが、全く効果はないですね。
医学のレベルはちがうが、中世のペスト以上ですよ。 とても、効果的な方法は現段階ではありそうに思えません」ついで、ウイルス学者で電子顕微鏡写真にも詳しいB博士が発言した。
「昨日、香港から厚生省の技官が持って帰られた電子顕微鏡写真のものが、たしかに、そのウイルスだという前提に立てば、このウイルスは、形態的には、なんとなく、かつてインフルエンザを起こした香港型の異型といわれたものに、ちょっと似ていますね。 もちろん、ちがうものでしょうが・・・。
かつて、1960年代に流行した香港型異型ウイルスの電子顕微鏡写真を焼いてきましたので、比べて見て下さい」といって、机の上に一枚の写真を置いた。 周知のように、電子顕微鏡というのは、実体を見ているのではなく、その影を見ているわけなので、カラーではなく当然モノクロームである。

そのために、カラーに馴れた眼にはちょっと見づらい点もある。 B博士は「ほれ、ここのところが、香港型に似ているでしょう」といいながら、ボールペンで示した。
そういわれると、似ているようでもある。 A教授が聞いた。
「B先生、この電子顕微鏡写真でキャッチしたというのは、本物でしょうかね」「いや、それはわかりませんよ。 この中国人の先生は、とても真面目な人だから、少なくとも、自分ではそう信じているのでしょう。
いずれにしても、これを培養して、この病気を起こさせる実験をはじめているという話ですから、それからですがね。 エイズのときのように、アメリカ人が功名をあせって、フランスのウイルスを使ったといわれるようなことはないと思いますがね」と答えた。
一瞬座はシンとした。

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